尼崎中央リハビリテーション病院

Cross Talk | 01

回復期リハビリテーションについて

尼崎中央リハビリテーション病院
リハビリテーション科 医長

土田 直樹

大学卒業後に兵庫医科大学のリハビリテーション科に入局し、緑ヶ丘病院で2年の回復期リハビリテーションに携わる。その後、篠山医療センターに移り、地域包括や救急医療にも従事。そして、緑ヶ丘病院に戻りリハビリテーション専門医取得。その後尼崎中央病院に入職し、指導医を取得し、臨床と後輩育成に尽力、2024年の11月より、リハビリテーション病院開院に伴い赴任し、現在に至る。
医師としてリハビリテーション科を目指したのは、自分自身が大きな交通外傷に遭い、左上肢完全機能全廃という状態となり、そこで理解されない気持ちであったり、悲壮感であったりを多く経験し、そういったことを逆に自分の特徴として活かせる仕事はないかなということで悩み・考え、リハビリテーション科の教授に声をかけられたことがきっかけとなり、リハビリテーション科医の道を進むこととなる。

尼崎中央リハビリテーション病院
看護師長

森本 愛子

看護師としてのスタートは、消化器外科病棟で、5年ほど勤めて、一旦看護師から離れる。
その後、子供がまだ小さかったこともあり尼崎中央病院の外来にパートとして入職。当初、病棟経験しかなかったが、整形外科など様々な診療科に従事する中で外来看護師の役割にも興味を持ち、自己研鑽を積む。その中で、循環器病棟の新設が決まり、循環器外来にて研鑽を積み、循環器病棟での勤務を開始。
「まさか自分が一番苦手だと思っていた循環器看護をするとは思っていなかった。」が、やればやるほど、循環器疾患をもった患者さんへの看護に興味が湧いてきて、必死で勉強しながら多くの経験を積み、その後循環器病棟の師長となる。
そしてその後、突然未知の回復期病棟にいくこととなり、様々な困難を再び経験するが、これまでの経験と新たな学びによって、困難を糧にし、今も新病院の師長として進化し続けている。

回復期における専門医の役割

  • 土田

    まずは、神経学的評価と全身状態の評価ですね。それを受けてどう治療するのかが重要です。予後予測をしっかりと行い、全体像を把握し、各職種と共有します。その中で経時的に身体機能が変わっていくのに合わせ、リハビリテーションの強度を最適化し続けなければなりません。そこはリハビリテーション科医の腕の見せどころの一つでもあります。
    そして、最も大事なことがリスクマネジメントになります。それが出来ていてこそ、リハビリテーションなどが実施可能になる訳です。いわばリスクマネジメントは全ての土台だと言えるでしょう。

回復期における看護師の役割

  • 森本

    やはり一つ目は、体調を整えて安全に安心してリハビリができるように支援する。ということです。そのために医師がいうリスクマネジメントの部分をしっかりと確認し、共有するということになると思います。
    次に、セラピストが行なっているリハビリを実際の生活場面に早く取り入れて行なっていくことが役割だと思います。そこにもやはりリスクマネジメントがあって、過度に積極的に行なったら事故リスクが大きくなってしまうし、消極的になりすぎるとなかなかリハビリが進まなくなってしまうので、その両面を考えて、最適な調整をその都度考えて、実行していくことが重要だと思います。
    さらに医師・セラピスト・介護士と共に、チームとして動くためにも、カンファレンスを含めた様々な情報共有の場面でも看護師の役割は大きいと感じています。

医師と看護師の協働

  • 土田

    私たちが治療で使うバイタルサインは当然ですが、夜間の様子、排便・排尿の情報なども看護師さんが中心になって取ってくれているので、本当に看護師さんがいないと成り立たないんです。

  • 森本

    だからこそ私たちも先生がどんな情報が欲しくて、どういう判断をしているのかを知っておく必要があります。決まった形で報告するだけではなく、普段からのコミュニケーションの中でたくさんの共有をしていくのが本当に大切だと思います。

  • 土田

    本当にそうですね。だからこそリハビリテーション科医は、病棟にいないといけないんです。もちろんリハビリ室にも行きますが、まずは看護師さんと一緒にいることが大事です。若い先生にもしっかりとそのことを伝えるようにしています。

  • 森本

    先生たちが病棟にいてるからこそ、お互いに何気ない会話が耳に入ってきたりするんです。そのことから発展して、すごくいい方向性に向かったりすることも多々あります。
    どちらがメインで、どちらがサポートというような関係ではなくて、一緒に考え、悩み、意見を出し合って、という関係ですかね。

  • 土田

    こっちの方がいつも助けられてますけどね。

  • 森本

    こちらこそいつもありがとうございます。
    回復期は、急性よりもチーム医療してるって感じは強いですね。

やりがいを感じる時は?

  • 土田

    患者さんやご家族から感謝していただけた時などはもちろんですが、入院して1ヶ月後ぐらいに立てた予後予測を上回って患者さんがよくなった時ですね。

  • 森本

    本当にそうですね。実は結構多くあるんです。
    そこにいくまでに関わっていたスタッフはもっと嬉しいのだと思います。

  • 土田

    自分で立てた予後予測なのにそれをあっさり超えるんです。
    患者さん本人の頑張りが一番ですが、本当にチームとして動けた結果だと思っております。いい意味での裏切りは、本当に喜びですね。

  • 森本

    入院してから大変なこともあるけど、一緒に歩んで、患者さんがどんどん良くなっていく姿を見ることができるんです。それも一番近くで。本当にやりがいを感じます。

  • 土田

    それをまたチームで共有できるから、やりがいも喜びも2倍ですね。

最後に

  • 土田

    これからもたくさんの患者さんに出会い、様々な経験をすることになると思います。その中で、学び・共有し、前へ前へと進むことのできるチームでいたいですね。

  • 森本

    患者さんを思い、行動ができるチームとしてさらに成熟して、学会発表などで外に向けて発信できるようになっていきたいですね。