尼崎中央リハビリテーション病院

Cross Talk | 02

看護×リハビリが導く
回復期リハビリテーション

尼崎中央
リハビリテーション病院
リハビリテーション部門 副技師長

加藤 久貴

親が看護師で、自分も「病院で働くのだろうな」と思っており、野球をずっとやっていたので、スポーツに関わるようなことで病院と言えば、「理学療法士」というのが、目指したきっかけです。社会人のスタートは尼崎中央病院であり、ちょうど回復期が立ち上がったタイミングになります。
当初から急性期・回復期・療養と携わっていたので、どのように過ごしていたか思い出せないぐらい必死だったと思います。その後に介護老人保健施設、訪問リハを担当し、生活期のリハビリを経験し、病院とのギャップを感じて、自分の中の視点が少し変わったと思います。そういった経験から「回復期で終わるのではなく、その後の生活を含めてデザインできれば」という思いを持つようになり、その思いは年々強くなっています。

尼崎中央
リハビリテーション病院
看護部 主任

飯尾 智子

看護師のスタートは、3次救急のある病院の救急科です。消化器内科も経験して、5年ぐらいして、少しゆっくり働きたいことと、幅広く医療を経験したくて、尼崎中央病院に入って療養病棟にいきました。
本当に時間の感覚も違うし、患者の容体・ケアも違うし、最初は驚きでした。
2年前から人生初の回復期病棟に移動しました。
急性期とも違う、療養ともまた違う、回復期の看護・リハビリなどのことを勉強しながらバタバタと過ごしおります。

看護×リハビリが担う役割

  • 飯尾

    実は、回復期に入院してくる時の患者様の心の状態は、希望を持っているというよりも絶望感を持っている方が多いです。

  • 加藤

    そういった状態にある患者様にいくらリハビリ提供しようと思っても拒否感が強くなかなか進みません。だからこそ最初に今の状態になっているメンタル面も含めて原因をアセスメントすることが大事ですが、リハビリで関わっている時間だけではなかなか難しいです。

  • 飯尾

    そこの部分は看護師の大きな役割ですね。患者様に寄り添い、一人一人にどのようなことが起こっているのかを丁寧にアセスメントしていくことが大事です。その中で、絶望感や苦しさを溜めておられる方が多いので、それが私たちの方に向くこともあります。そういったことも含めてアセスメントと対応を行なっていくことが大切であり、より良い方向に進む原動力になるのだと思います。

  • 加藤

    病棟とリハビリがしっかりと連携しながら、良い方向に導くことが大事です。その中で、モチベーションをいかに高め、どう担保していくのかが重要で、それはセラピストの役目でもあるし、看護師の役目でもあります。
    そこは患者様と話しながら、「患者様がこんなこと言っており、こんなことを気にしているので声掛けお願いします。」と言ったようなやり取りをよくします。

  • 飯尾

    そこで情報をもらい、声掛けを行うことで、良い循環が生まれる原動力になります。そしてそれをしっかりとフィードバックをする。ということを双方向で行うことで、モチベーションを維持しやすいようにしています。

  • 加藤

    リハビリも大事ですが、それ以上に患者様を「のせる」ということが非常に重要だと思っております。そうすると自ずとリハビリにも前向きになってくれます。そのポイントは「ちょっとした変化を見逃さず褒める」ことだと思います。

  • 飯尾

    病棟内・リハビリ中でのちょっとして変化をしっかりと共有し合うことで、病棟内でもリハビリ中でもしっかりと「変化に気づき、褒める。」を実践でき、患者様からすると同じことを複数回褒められるということになります。このことがモチベーションを上げ、更なる機能などの回復にも繋がります。

  • 加藤

    「アセスメント」「対応」「気づき」を常に共有し、フィードバックすることが非常に重要です。さらにそこに「各々の専門性を持った視点から見る」ということが必要なのだと思います。

看護×リハビリが作る尼崎中央リハビリテーション病院の将来展望

  • 加藤

    こう言った形で常に情報共有しながら連携をしているのですが、患者様の身体面・メンタル面共に小さい分岐点のようなものが本当に多くあって、それを逃さないように一つ一つ積み上げていくことが大切です。もちろん全てが上手くいくわけではないですが、そのような時もチームでフォローし合える状況をいかに作り出すかが大事です。

  • 飯尾

    その通りですね。既に出来ていることも沢山ありますが、もっとチームの連携を高めること・個人の能力を上げていくことの両方が必要です。それは職種を超えての繋がりを大事にし、各専門性をさらに高めていくということだと思います。

  • 加藤

    自分が気付くことができたことは共有し、自分が気付けなかったことは、他の誰かが気づき、それを共有してもらう。しかもそれが職種を超えて行われており、それによってさらに個人としてもチームとしても成長できる。ということを尼崎中央リハビリテーション病院の当たり前にしていきたいです。

  • 飯尾

    その積み重ねの中で、先ほどの分岐点のところで一番懸念することの一つに転倒があります。リハビリをしている環境と病棟での環境はやはり異なるので、その点をいかに危険予知し、回避するかが重要となります。患者様のタイプにも様々あるので、ここでもしっかりとアセスメントと情報共有を行い、患者様の心理を察知することが大切です。これは単なる直感などではなく、これまでの積み重ねによるものだと思います。こうして全然動けなかった方が、車椅子に座ってご飯を食べることができるようになったり、歩行器なしでは歩けなかった方が、装具をつけて歩くことができるようになったりを多くの方で経験できています。こうして患者様が良くなっていくことが私たちにとっての喜びとなっていると同時にやりがいでもあり、励みにもなっています。

  • 加藤

    さらにいうと、退院後に顔を見せに来てくれることやたまたま見かけることもあり、その時にもっと良くなっている姿を見ることができた時は本当に嬉しい気持ちになり、すごく達成感を感じる時でもあります。そういった事をもっと共有して、一緒に喜びたいですね。
    また、スタッフが生き生きと働けない病院はダメだと考えているので、「意見を汲み上げてくれる」「運営にちょっとでも参加できる」というような事が必要で、自分たちが上手く汲み取ることができれば可能性は広がると思っております。そんなリハビリテーション病院にしていきたいので、いろんな取り組みをしていきたいと思っております。そして、いろいろな取り組みの評価は患者様やご家族からいただけると思うので、さらにそのご意見もみんなで協議して、良い方向に変化し続けられるようにしたいです。

  • 飯尾

    「なんか面白いことやってるね。」「スタッフさん楽しそうよね。」って言ってもらえるようにしたいし、尚且つ、スタッフ自身がワクワクできて、「ここで働けてよかった。」と思える場所にしたいですね。